不登校生徒への一歩、訪問支援のエピソードの1 - 尾添校長の明日は晴れ③
不登校の生徒たちと向き合い、元気にしていくやり方として、私は
(1)訪問支援
(2)フリースクール
(3)通信制高校
の3つを運営していました。
(1)と(2)と(3)は独立して別個の存在というのではなく、
(1)訪問支援で引きこもりっていた生徒が徐々に外出できるようになり、(2)フリースクールの門を叩き、(3)そのまま今いる仲間たちと一緒に過ごすことができる通信制高校に入る。
などというリレーのような関係が生まれることも多々ありました。
その中の(1)訪問支援のエピソードを紹介します。
まだ訪問支援を開始して半年くらい、徐々に大学生の男女による訪問支援の実績が作り始めていた頃、息子さんの不登校に困るお父さんから電話をいただきました。
不登校の生徒で対応に苦慮するお父さんお母さんはよく「藁をもすがる思いで」という言葉を使われます。
そのお父さんもそうでした。お母さんに暴力をふるう。お父さんとは全く喋らない。一日中部屋から出てこない。なぜこうなったか全くわからない。
そうですか、そうですか。わかりました、うちには生徒の心を開く素晴らしい大学生がいてですね、、、と私が大学生を紹介しようとすると。
(お父さん)いや、うちの子は大学生では無理だと思います。できたら尾添さんに直接みていただきたいのですが、無理でしょうか?
ここで、はい、無理ですと言ったらあかん。自分でみるのは初めてだけど、今後のいい経験になると咄嗟に判断私は「わかりました。」と即答してしまったのです。
一週間後、いよいよ私自身による中2男の子の訪問支援が始まりました。
お父さんから彼が好きなものは聞いたいます。
カブトムシの飼育が好き。
今ハマっているのは「進撃の巨人」
工作が大得意。
そりゃわかるけど、そもそも会うこと自体がスーパー難関なわけで。
平日の午後2時。
物音はするので、起きてはいるようだ。
ドア越し、かすかな音でコンコンする。
「こんにちは、突然来てごめんなさいね。今日は挨拶するだけだからね。ちょっと挨拶したらすぐ帰るからね。」
(返事はない)
「お父さんから、○○君の好きなものとか聞いたよ。進撃の巨人、好きなんやね。今すごい人気やもんな。あとさ、音楽とか何が好きなの?」
(しばし相変わらずの沈黙のあと、彼が答えてくれた。)
「BUMP。」
↑BUMP OF CHICKEN
(日本のロックバンド)
「おー!」
思わず私は叫んだ。
「ほんまかいな!私も大好きやねん!ライブも行ったことあるねん!」
これは、やはりビギナーズラックだったのでしょうか?
同じバンドが好きだった14歳と50歳の交流の扉がその瞬間から開いたのでした。
(続く)
この記事を書いた人
尾添 先生
J-Web School / J-Schoolの高卒認定試験専門講師。約10年間、不登校支援カウンセラーとして、学校に行けず悩んでいる子供たちや、その保護者の話を聞き、未来への道をひらくご支援をさせていただいています。